1万歩歩くって、実際にはどこからどこまで歩くこと?距離と時間の目安から考える日々の運動

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1万歩の目安はどのくらいなのか

健康のために「1日1万歩歩きましょう」という言葉を耳にすることは多いと思います。テレビの健康番組やスマートフォンの歩数計アプリでも、目標として設定されていることがよくあります。でも、「1万歩」と言われても、それが具体的にどれくらいの距離で、どれくらいの時間がかかるのか、パッと想像できる人は意外と少ないのではないでしょうか。

なんとなく体に良さそうというイメージはあるものの、実際のところはどうなのか、少し掘り下げてみましょう。

私たちの歩幅は、おおよそ「身長引く100センチメートル」と言われています。もちろん個人差はありますが、一般的に大人の歩幅は60センチから70センチくらいだと考えると分かりやすいです。計算しやすいように歩幅を70センチと仮定してみましょう。そうすると、1万歩歩いた場合の距離は、70センチ掛ける1万歩で7キロメートルになります。

7キロメートルというと、普段から歩き慣れていない人にとっては、かなり途方もない距離に感じるかもしれません。

たとえば、東京の山手線で言えば、東京駅から品川駅までの距離がだいたい7キロメートル弱です。大阪の御堂筋線なら、梅田駅から難波駅まで歩いて、さらに少し先まで行くくらいの距離感になります。こうして具体的な場所で例えてみると、「えっ、毎日そんなに歩かなきゃいけないの?」と驚いてしまうのも無理はありません。

どれくらいの時間がかかるのか

では、その7キロメートルという距離を歩くのに、一体どれくらいの時間がかかるのでしょうか。人が普通に歩く速度は、だいたい時速4キロメートルから5キロメートル程度だと言われています。これも計算しやすいように時速4キロメートルだと仮定すると、7キロメートルを歩き切るには、およそ1時間45分かかる計算になります。

毎日、まとまった時間を1時間45分も確保してウォーキングをするというのは、仕事や家事、育児などで忙しい現代人にとっては、なかなかハードルが高いことです。「健康のために歩きたいけれど、時間が取れないから諦めよう」と思ってしまうのも仕方のないことかもしれません。

休日にまとめて歩こうと思っても、平日の疲れが溜まっていて、ついつい家でゴロゴロ過ごしてしまうというのもよくある話です。

しかし、ここで大切なのは、必ずしも「1回のウォーキングで1万歩を歩き切らなければならない」というわけではない、ということです。1万歩というのは、あくまで「1日のトータルの歩数」の目標です。朝起きてから夜寝るまでの間に、生活の中で少しずつ積み重ねた歩数の合計が1万歩になればいいのです。

日常生活に潜む歩数

実際に、私たちが普段の生活の中でどれくらい歩いているのかを振り返ってみましょう。たとえば、朝起きてキッチンへ行き、朝食の準備をして食べる。身支度を整えて家を出て、最寄り駅まで歩く。電車に乗って会社の近くの駅で降り、オフィスまで歩く。オフィスの中では、デスクから会議室へ移動したり、お手洗いに行ったり、同僚の席へ相談に行ったりする。お昼休みには、ランチを食べるために近所の飲食店まで歩く。そして夕方、仕事を終えて家路につく。家に帰ってからも、お風呂の準備をしたり、掃除や洗濯などの家事をこなしたりする。

こうして一つひとつの行動を分解してみると、私たちは意識していなくても、生活の中で意外と多くの歩数を稼いでいることに気付きます。デスクワーク中心の仕事をしている人でも、通勤やオフィス内の移動、ちょっとした買い物などで、1日に4000歩から5000歩くらいは歩いていることが多いと言われています。

立ち仕事や外回りの営業をしている人であれば、特別な運動をしなくても、仕事の合間だけで7000歩から8000歩、あるいはそれ以上歩いていることも珍しくありません。

つまり、1日1万歩という目標は、ゼロから新しく1万歩を歩き始めるということではなく、今の生活で歩いている歩数に、足りない分をプラスしていくという考え方で捉えればいいのです。もし現在、1日に5000歩歩いているのなら、あと5000歩をどうやって日常生活の中に組み込んでいくかを考えれば、少し気持ちが楽になるのではないでしょうか。

無理なく歩数を増やすためのちょっとした工夫

では、日常生活の中で無理なく歩数を増やすためには、どのような工夫ができるでしょうか。毎日の生活パターンを少しだけ変えることで、ちりつもで歩数を稼ぐ方法はたくさんあります。

通勤の際にできる工夫としては、いつも降りる駅の「一つ手前の駅」で降りて、そこから歩いてみるという方法が定番です。また、駅やオフィスビルの中で、エスカレーターやエレベーターを使わずに、できるだけ階段を使うように意識するだけでも、歩数は確実にも増えますし、足腰の良い運動にもなります。

お昼休みのランチタイムも、歩数を増やす絶好のチャンスです。いつも行く近所のコンビニや飲食店だけでなく、少しだけ足を延ばして、今まで行ったことのないお店を開拓してみてはいかがでしょうか。新しい美味しいお店を見つける楽しみが加われば、歩くことも苦にならなくなります。

休日は、近所のスーパーへ買い物に行く際に、自転車や車を使わずに歩いて行ってみるのも良いでしょう。買い物の量が多いと大変なので、無理のない範囲で荷物を分けるなどの工夫は必要ですが、普段通らない道を歩いてみることで、新しいカフェを見つけたり、季節の移ろいを感じたりと、思いがけない発見があるかもしれません。

大切なのは、「歩かなければならない」という義務感にとらわれすぎないことです。歩数を増やすこと自体を目的とするのではなく、日々の生活の中にある小さな移動を、少しだけ長めに楽しんでみるという感覚を持つことが、長続きの秘訣です。

数字にとらわれすぎないことの大切さ

ここまで1万歩という数字を基準にお話ししてきましたが、実は近年の研究では、必ずしも「1日1万歩」にこだわる必要はないという見方も出てきています。もちろん、たくさん歩くことは健康に良い影響を与えますが、1日8000歩程度でも十分に健康効果が得られるというデータも報告されているのです。

特に、今まであまり運動をする習慣がなかった人が、急に毎日1万歩を目指して歩き始めると、膝や腰を痛めてしまう原因になることもあります。まずは自分の現在の歩数を把握し、そこに「プラス1000歩」くらいから始めてみるのが、体にも心にも負担の少ないスマートな始め方です。

毎日きっちり歩数を達成しようと躍起になるのではなく、天気の良い日は少し遠回りして帰ってみようとか、休日は公園を散歩してみようといった、自分のペースで歩く楽しみを見つけることが一番大切です。

お気に入りの音楽を聴きながら歩いたり、歩数計アプリの記録を見てニヤニヤしたりと、自分なりの楽しみ方をプラスしながら、無理のない範囲で歩く習慣を生活の一部に溶け込ませていきたいものです。